ISO(国際標準化機構)は、2024年6月20日に、建設分野における情報要求の定義方法を定めた新たな国際規格として、ISO 7817-1:2024(Level of Information Need:必要情報詳細度) を発行しました。本規格は、建設プロジェクトや資産運用において、どの段階で、どの目的のために、どの程度の情報が必要かを定義するための概念および原則を示すものです。

従来、情報の詳細度は「LOD(Level of Development)」などの概念で扱われてきましたが、ISO 7817-1 では、情報を下記の三つの側面から整理し、目的に応じて必要な情報を定義する考え方を示しています。
- 形状情報(Geometrical information)
- 属性情報(Alphanumerical information)
- 文書情報(Documentation)
本規格における「必要情報詳細度」の概念は、すでにISO 19650-1において示されている考え方を基盤とし、それをより明確に体系化したものです。情報要求事項(EIR、AIR、OIR)を具体化する際の基盤となる規格といえます。
ニュースの説明
これまで建設業界では、「モデルの詳細度」を示す概念として LOD が広く使用されてきました。しかし、LOD は主にモデルの成熟度や完成度を示すものであり、「何の目的のために、どの情報が必要か」という視点が必ずしも明確ではありませんでした。ISO 7817-1 は、この課題に対応し、「必要情報詳細度(Level of Information Need)」という考え方を明確に定義しました。
この規格の重要なポイントは、次の点にあります。
- 情報は目的に基づいて定義されるべきである
- 幾何形状だけでなく、属性情報や関連文書も含めて情報と捉える
- 情報は「多すぎても少なすぎてもならない」
つまり、必要情報詳細度とは、「より詳細なモデルを作ること」ではなく、必要な目的に対して、過不足のない情報を定義することを意味します。ISO 19650 の枠組みにおいては、OIR・AIR・EIR で定義された情報要求を具体化する際に、この ISO 7817-1 の考え方が活用されることが想定されています。本規格の発行により、国際的には LOD 中心の議論から、「目的に基づく情報定義」へと重心が移行することが明確になりました。
これまでのLOD(形状の情報詳細度)やLOI(属性情報の情報詳細度)などが不要になるわけではありません。これらを基礎として設計することは引き続き必要です。ただし、これらを設計施工の各段階で、固定的に適用するのではなく、プロジェクトごとの目的に応じて、必要な情報を加えたり、不要となる情報を削除したりすることが求められています。
今後、ISO 7817シリーズとして、下記の規格の開発が計画されています
- ISO 7817-2
Building information modelling – 必要情報詳細度Part 2:適用のためのガイダンス - ISO 7817-3
Building information modelling – 必要情報詳細度Part 3:データモデルおよびスキーマ
これらの規格により、「必要情報詳細度」の概念は、原則から実務適用、そしてデータ構造へと体系化されることになります。
情報先
https://www.iso.org/standard/82914.html
情報公開日
2026年4月1日
担当者
伊藤久晴