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ISO 19650-1:2018の大幅改定案について

国際規格であるISO19650-1の大幅な改定が行われています。2026年6月3日にDIS(Draft International Standard:国際規格案)に関する意見交換が終了し、最終調整に向けて進んでいる段階です。順調にいけば、2027年頃に正式に発行される見込まれています。正式に発行されるとISO19650-1:2018は廃版となります。

今回の改定で最も注目される点は、ISO19650が本来目指していた「情報マネジメントの規格」であることを、これまで以上に明確に打ち出したことだと言えます。この改定は、ISO19650シリーズが2018年に発行されて以来、最も大きな見直しであり、単なる改訂ではなく、情報マネジメントの考え方そのものを再整理する改定といえます。

まず、ISO/DIS19650-1では、サブタイトルが変更されています。それは、ISO19650-1:2018では、サブタイトルが、BIMを使用する情報マネジメント(Information management using building information modelling)であったのに対し、国際規格案では、BIMを使用するという表現がサブタイトルから削除され、単に「情報マネジメント」となりました。

ISO/DIS 19650-1の表紙

第2条「適用範囲」においても同様の変更が見られます。2018年版では「BIMとして記述される成熟した段階の情報マネジメント」とされていましたが、DISでは「ISO19650に準拠する情報マネジメント」と改められ、「BIM」という言葉が削除されています。

さらに、多くの用語の整理が行われています。例えば、EIR(情報交換要求事項)やBEP(BIM実行計画)などの用語は、情報生産要求事項、情報生産計画に変更される予定です。この変更により、発注組織による情報生産のための要求事項であり、元請受託組織による情報生産のための計画であるという関係性が明確になります。その他PIM(プロジェクト情報モデル)が廃止されたり、TIDP・MIDPが情報生産スケジュールに変更となるなど、たくさんの用語が整理・変更されています。

規格の文章自体もこのDISでいろいろ変わっていますが、共通データ環境についても、変更があります。これまで、WIP、共有、公開、アーカイブという4つのステータスでしたが、共有と公開の間に、SUBMITTED(提出)というステータスが追加され5つのステータスになりました。この変更によってISO19650-1:2018の共有ステータスの曖昧さが解消できたように思います。

これらの変更は、単なる用語の整理ではありません。ISO19650が「BIMを使った情報マネジメント」から「情報マネジメントそのもの」へと軸足を移そうとしていることを示しています。日本でもBIMを3次元モデルとして捉えるのではなく、意思決定のための情報マネジメントとして理解することが、今後ますます重要になるでしょう。今回の改定は、建設業界が「BIM」という言葉にとらわれることなく、情報マネジメントという本質へ目を向ける契機になるのではないでしょうか。

情報先

https://www.iso.org/standard/89703.html

情報公開日

2026年7月1日

担当者

伊藤久晴