参照情報

Reference Information

BIM Forum LOD Specification 2025

分類

建設業界フレームワーク

名称

BIM FORUM Level of Development (LOD) Specification 2025

作成者

BIM Forum

リンク先

https://bimforum.org/resource/lod-level-of-development-lod-specification/

内容

BIMForum が発行している BIMForum LOD Specification 2025 は、建設プロジェクトにおけるBIMモデルの要素がどの程度まで開発されているかを定義するための実務ガイドです。

建設プロジェクトでは、設計者・施工者・専門工事業者など多くの関係者がBIMモデルを用いて協働作業を行います。しかし、どの段階でどの程度までモデルを作成するのかをあらかじめ明確にしておかなければ、関係者が作成するモデル要素の形状や属性情報の内容が一致せず、過度に詳細なモデルや簡略すぎるモデルが作成されたり、不要な情報が含まれたり、必要な情報が不足したりする可能性があります。そこで、BIMForum LOD Specification では、BIMモデル要素の開発段階を LOD100からLOD500までのレベルで示しています。

なお、この仕様は設計や施工の各フェーズに対して特定のLODを規定するものではなく、どの段階でどのLODを使用するかは各プロジェクトチームが決定するものとされています。

LOD100:
LOD100では、モデル要素はシンボルなどの簡単な記号や概念的な表現としてBIMモデル内に示されます。LOD100の要素は必ずしも3D形状を持つとは限りません。つまり、モデルからその要素の存在や概算情報を把握することはできますが、具体的な形状やサイズなどがまだ定義されていない状態を示します。実務では、事業企画などの初期段階で用いられることが多いレベルです。

LOD200:
LOD200では、モデル要素は実際の部品として認識できる簡易的な3D形状で表現されます。この段階のモデル要素は、初期段階における設計意図を示すものであり、仕様や性能が最終的に決定されているわけではありません。実務では、企画設計や基本設計などの段階で用いられることが多いレベルです。

LOD300:
LOD300では、モデル要素は数量・サイズ・形状・位置・向きを正確に測定できる状態でBIMモデルとして表現されます。LOD300の要素の形状は、設計意図を十分に表現できるレベルの3Dモデルです。ただし、正確なサイズでモデル化されているのは必要なスペースを検討するためであり、この段階ではモデル要素間の干渉が完全に解決されていることを意味するものではありません。実務では、設計段階で用いられることが多いレベルです。

LOD350:
LOD350では、モデル要素は数量・サイズ・形状・位置・向きに加えて、隣接する要素との接続関係(インターフェース)まで確認できる状態になります。LOD350は、施工段階における調整や干渉調整を行うために利用できるレベルのモデルです。このレベルでは、配管・設備・構造などの取り合い関係を考慮する必要があるため、施工や製作に関する知識が求められる場合が多くなります。

LOD400:
LOD400のモデル要素は、製造・製作・組立・施工に使用できるレベルの詳細で表現されます。LOD400は、製作図(ショップ図)に相当するレベルの情報を含むモデルです。実務では、鉄骨加工業者、建材メーカー、設備施工業者などが製作や施工のために必要とする情報を含む場合があります。ただし、多くのプロジェクトでは、LOD400の要素はモデル全体の中でそれほど多く含まれない場合が一般的です。

LOD500:
LOD500のモデル要素は、実際に存在する建物や完成した建物の状態を表すモデルです。現地調査や実測、確認などに基づいて作成されます。また、そのモデルの精度(どの程度正確か)を明示する必要があります。LOD500は竣工後の実際の建物の状態を表すモデルであり、LOD400より詳細度が高いという意味ではありません。

解説

日本でも多くの企業が、BIMモデルの作成段階を LOD100~LOD400 といった形で整理して管理しています。この考え方は、基本的に BIMForum LOD Specification を参考にしたものです。海外においても、このBIMForum LOD Specification は広く参照されている実務的なガイドです。

この仕様が作成された背景には、BIMモデルの見た目と実際の情報の信頼性の間に生じる誤解を防ぐ必要があったことがあります。BIMでは三次元モデルが作成されるため、外観だけを見ると設計が完成しているように見える場合があります。しかし実際には、概念的な検討モデルであったり、仮定に基づく形状であったりする場合も少なくありません。

LODはこの問題を解決するために、モデル要素ごとに 「その情報をどの程度信頼して利用できるか」 という観点からモデルの開発段階を定義する考え方を示しています。例えばLOD200は概略的な形状として数量の概算や基本的な検討に利用できる段階であり、LOD300になると正確な形状として設計図の作成や空間調整などに利用できるようになります。またLOD350では接合部や他要素との干渉調整に必要な情報が含まれ、LOD400では製作や施工に利用できる詳細情報が定義されます。このようにLODは、BIMモデルの利用可能性を共通言語として整理し、プロジェクト関係者の間でモデル成果物の範囲や責任を明確にする役割を果たしています。

また、LODの考え方は、設計施工の各段階で詳細度が高ければよいということを示しているものではありません。むしろ、それぞれの段階に適したモデルの作成レベルを定めるためのものであり、過度に詳細なモデルや、その段階で必要とされない属性情報を作成することを抑制する役割もあります。 ただし、この概念は主にBIMモデルの要素の形状や属性情報を中心とした枠組みです。そのため近年の情報マネジメントの視点からは、ISO 7817で定義された 必要情報詳細度(Level of Information Need:LOIN) の概念へと発展し、形状情報だけでなく属性情報や文書情報を含めた情報要求として整理されるようになっています。そのためLOD Specification は、BIMモデルを中心とした実務的な開発段階の定義としての役割を持ちながらも、現在の国際的な情報マネジメントの体系の中では、より広い情報要求の枠組みへと発展してきているといえます。ISO19650における情報要求の考え方も、このような必要情報を定義するという枠組みと整合しています。ISO19650では、発注者が情報交換要求事項(EIR)などを通じて必要な情報を定義し、それに基づいて受注者側が情報成果物の作成計画を策定します。そのため、EIRでは各情報要求事項に対するLOINを定義することが求められています。また、TIDPでは情報コンテナごとにこの必要情報詳細度を整理することが求められます。さらに情報の協働生産やレビューの過程においても、作成された情報コンテナや情報モデルがこのLOINに従っているかを確認することが求められています。

掲載日

2026年4月1日

担当者

伊藤久晴