参照情報

Reference Information

NBS Digital Construction Report 2025

分類

調査・レポート

名称

NBS Digital Construction Report 2025

作成者

NBS(National Building Specification)

リンク先

https://www.thenbs.com/digital-construction-report-2025

内容

NBS(National Building Specification)は、英国の建設業界で仕様書の標準化やデジタル化を支援する組織です。建築仕様書作成ツールや建築製品情報サービスを提供し、BIMや情報マネジメントの普及にも大きな影響を与えています。

このNBSが英国の建設業界のデジタルトランスフォーメーションとBIMの状況を調査しまとめたものが、NBS Digital Construction Report 2025です。このレポートは、英国における現在のデジタル技術の利用状況とその影響を示しています。

このレポートでは、これまで懐疑的に見られてきたデジタル化の取り組みが、現在では、設計・施工・運用のあり方を変える重要な要素となることが示されています。特に近年はAIの活用が急速に広がり、建設業界に新たな変革をもたらしています。さらに、クラウド技術や環境評価のデジタル化も進み、建設業界はデジタル化への転換期にあることが示されています。本レポートは、こうした英国での変化を理解し、建設業界の将来を考えるための重要な資料です。

解説

NBSは、Annual BIM reportという名称で、2011 年~2020年までの10年間毎年レポートを公開していました。2021年からは、Digital Construction Reportという名前でおおむね2年ごとにレポートを発行しています。このレポートにより、現在の英国のBIM の状況を把握することができます。

まず、2025年の調査では、建設業界におけるBIMの認識が徐々に変化していることが示されています。BIMに対する理解として最も多い回答は「ISO 19650に基づくプロセス」で30%を占め、「デジタル変革の基盤」が27.4%、「情報マネジメント」が26%と続きます。一方で、BIMを「3Dモデル+属性情報」とする従来の理解は14.6%に減少しており、BIMの認識がモデル中心から情報マネジメントへと移行していることが示されています。ただし、このような従来の理解も依然として一定程度残っていることが示唆されています。

また、建設業界ではクラウドコンピューティングの利用が急速に拡大しています。調査では86.3%の組織がすでにクラウドを利用していました。主な用途は情報の保存(92.9%)、チーム協働(85.1%)、クライアントとの情報共有(79.5%)、電子署名(61.7%)などです。クラウドは、単なるファイル保存にとどまらず、プロジェクト管理や契約手続きにも活用されており、場所に依存しない協働作業を可能にすることで、建設業の働き方や業務プロセスを大きく変えつつあります。

さらに、AIも注目される技術です。建設業界ではAIの導入が急速に進んでおり、2025年には42.5%の組織がすでにAIを利用しています。AIは主に技術情報の検索、文章作成、データ分析、文書要約、計算などの業務で活用されています。使用しているツールではChatGPTが最も多く利用され、CopilotやGoogle Geminiも広がっています。多くの専門家はAIが生産性や品質の向上に役立つと考えていますが、AIの利用においては正確性の確保や人による確認の重要性も指摘されています。

このように、NBSのDigital Construction Reportは、英国の建設業におけるデジタル技術の普及状況とその変化を示す重要な資料であり、将来の日本のBIM の方向性を考えるうえでも参考となる内容です。

掲載日

2026年4月1日

担当者

伊藤久晴