参照情報

Reference Information

ISO 19650-2:2018

名称

Organization and digitization of information about buildings and civil engineering works, including building information modelling (BIM)
 – Information management using building information modelling –
Part 2: Delivery phase of the assets

ビルディング情報モデリング(BIM)を含む建築及び土木工事に関する情報の統合及びデジタル化
-ビルディング情報モデリングを使用する情報マネジメント-
第2部:資産のデリバリーフェーズ

リンク先

https://www.iso.org/standard/68080.html

内容

ISO 19650-2は、資産のデリバリーフェーズ(設計・施工段階)における情報マネジメントの方法を定めた規格です。発注組織がプロジェクトで必要となる情報要求を定義し、複数の受託組織が協働して効率的に情報を作成・共有できる環境を整えることを目的としています。この規格は、大規模な不動産開発から個別の建物やインフラまで、あらゆる規模・複雑さのプロジェクトに適用できますが、要求事項は資産やプロジェクトの規模や複雑性に応じて適切に適用することが求められます。また、情報マネジメントプロセスを通じて、デリバリーチームが協働し、無駄な活動を最小化することを目指しています。

本規格では、設計・施工段階の情報マネジメントプロセスを、評価及びニーズからプロジェクトの終結までの8つのプロセスに分けて整理しています。この中には、入札、応札、受託といった契約に関わるプロセスも含まれており、情報マネジメントを契約行為と切り離さずに扱っている点が特徴です。

これらのプロセスの中では、EIR(情報交換要求事項)や BEP(BIM 実行計画)を中心とした管理文書が定義されており、情報要求の提示、対応方針の提示、実行計画の確定といった流れが体系的に整理されています。

また、情報の協働生産については、共通データ環境(CDE)を中心として、情報の作成、生産、レビュー、承認、共有といった一連のプロセスが定義されています。 これにより、情報が属人的に扱われるのではなく、合意されたルールの下で管理されることが求められています。

このようにISO 19650-2では、設計・施工段階の情報マネジメントを、契約、情報要求、情報生産、情報共有までを含む一体的なプロセスとして整理している点が大きな特徴です。

解説

日本では、BIMをBIMソフトウェアで作成した三次元のBIMモデルを活用することといった、技術的な面での取り組みをBIMだと考えている場合が多くみられます。確かに、設計施工において、BIMモデルの活用は必要ですが、このような技術的な変化だけでは、建設業界の多くの課題を解決することができません。ISO 19650-2は、設計施工で管理されるすべての情報(BIMモデル・図面・計算書・報告書など)を対象とした情報マネジメントであり、単にBIMモデルを作成し、活用することだけがBIM ではないと理解することが重要です。

そのためには、施設や建物の設計施工に関わる関係者全体が協働して取り組む必要があります。ISO 19650では、関係者を、発注組織・元請受託組織・受託組織の3つの組織に分けており、それぞれが役割と責任を持って、設計施工を行うことで、効率的に品質の高い情報を作り、それを設計施工で活用できる仕組みを作っています。

情報マネジメントプロセスでは、発注組織による「評価及びニーズ」において、すべての受託組織に対する統一的な要求事項と受入基準が定められます。続く入札・応札などの調達段階では、受託組織の取り組み方針や能力が評価されます。そのうえで、受託・動員といった計画策定段階において、要求された取り組みが確実に実行できる体制が整えられます。

次の情報の生産段階では、共通データ環境(CDE)のワークフローに基づき、情報の作成、レビュー、承認、共有が行われます。そして、このようにして作成された情報は、プロジェクトの終結時に整理され、運用段階の情報マネジメントへと引き継がれます。

日本では、このような役割を十分に果たせる発注組織が多くないため、このようなプロセスは実現が難しいと言われることがあります。しかし、元請受託組織や受託組織においても、実施可能な部分から取り組むことで、情報の統合とデジタル化を進めることができます。

このような取り組みは発注組織にとっても大きなメリットにつながるため、今後このような取り組みに対する要求は次第に増えていくと考えられます。

掲載日

2026年4月1日

担当者

伊藤久晴