名称
Organization and digitization of information about buildings and civil engineering works, including building information modelling (BIM)
– Information management using building information modelling –
Part 3: Operational phase of the assets
ビルディング情報モデリング(BIM)を含む建築及び土木工事に関する情報の統合及びデジタル化 – ビルディング情報モデリングを使用する情報マネジメント –
第3部:資産の運用フェーズ
リンク先
https://www.iso.org/standard/75109.html
内容
ISO 19650-3は、資産の運用段階における情報マネジメントの適用のための規格です。発注組織が運用・維持管理に必要な情報要求を定義し、関係者が協働して効率的に情報を作成・管理できる環境を整えることを目的としています。資産のライフサイクル全体を通じた情報マネジメントの継続や、施設の所有者変更時の情報の引継ぎについても示されています。

ISO 19650-3では、資産の運用段階における情報マネジメントを、トリガーイベントを起点として実施する仕組みが示されています。トリガーイベントには、年次保全や資産戦略レビューなどのように事前に計画できるものと、設備の故障や事故、洪水などのように予測できないものがあります。計画できるトリガーイベントの場合は、あらかじめ元請受託組織を選定し契約しておくことができます。一方、計画できないトリガーイベントの場合は、発生した後に元請受託組織を選定し対応します。また、竣工後の、施設の増築や大規模な修繕を行う場合は、状況に応じてISO 19650-3の情報マネジメントプロセスを運用中に、ISO 19650-2の情報マネジメントプロセスを適用することがあることも示されています。
このように、ISO 19650-3では、資産の運用段階において発生するさまざまな活動を対象とし、トリガーイベントを起点として情報マネジメントを実施する仕組みが示されています。これにより、計画された保全業務だけでなく、故障や事故など予測できない出来事にも対応できる情報マネジメントの枠組みが定義されています。
解説
ISO 19650-3は、施設・資産の運用段階における活動に対する情報マネジメントの適用を定めた規格です。運用段階では、状況に応じてISO 19650-2の情報マネジメントプロセスが適用されることもあるため、基本的な概念や用語の多くはISO 19650-2と共通しています。例えば、情報交換要求事項(EIR)、BIM 実行計画(BEP)、共通データ環境(CDE)、情報コンテナといった主要な概念は基本的に同じものが用いられています。
運用段階では、施設・資産の活動が解体に至るまで継続して行われるため、管理対象として定められた資産情報モデル(AIM)に含まれる情報コンテナは、継続的に運用・管理・維持される必要があります。
また、このAIMに含まれる情報コンテナは企業システムと連携することで、さまざまな運用活動に活用されます。すなわち、AIMは運用段階における主要な情報基盤となり、そこに蓄積された情報を各種の企業システムで活用することで、効率的で質の高い運用活動を実現することが期待されています。
日本では、設計・施工段階で作成されたBIM モデルやその情報を運用段階に引き渡すことが「維持管理BIM」であると理解されている場合があります。しかし、それだけでは運用段階の活動を継続的に支えることはできません。運用段階において重要なのは三次元BIMモデルの活用そのものではなく、運用段階の活動を支える情報マネジメントの仕組みを構築することです。
また、ISO 19650-3でも、情報マネジメントプロセスの最初に「評価及びニーズ(Assessment and Need)」というプロセスがあり、ここで運用段階の情報マネジメントにおける統一的な要求事項や受入基準が定められます。このプロセスは、ISO 19650-2における設計施工段階の「評価及びニーズ」と密接に関係しており、資産の運用に関する要求事項は、設計施工の終了後ではなく、プロジェクトの初期段階から定義される必要があります。したがって、運用段階で必要となる情報要求は、設計施工の入札時に要求事項として提示されることが望まれます。
掲載日
2026年4月1日
担当者
伊藤久晴