参照情報

Reference Information

ISO 19650-6:2025

名称

Organization and digitization of information about buildings and civil engineering works, including building information modelling (BIM)
– Information management using building information modelling –
Part 6: Health and safety information

ビルディング情報モデリング(BIM)を含む建築及び土木工事に関する情報の統合及びデジタル化
– ビルディング情報モデリングを使用する情報マネジメント –
第6部:安全衛生情報

リンク先

https://www.iso.org/standard/82705.html

内容

ISO 19650-6は、建築・土木資産のライフサイクル全体にわたり、安全衛生(Health and Safety)に関する情報をどのように定義し、管理し、共有するかを定めた規格です。

本規格は、設計・施工・運用の各段階において発生する安全衛生上のリスクに対して、必要な情報を体系的に整理し、情報マネジメントの枠組みに組み込むことを目的としています。

主な内容は以下の通りです。

  • 安全衛生リスクに関する情報要求の定義
  • 危険源(hazard)およびリスク情報の構造化
  • 設計段階でのリスク低減情報の共有
  • 施工段階での安全情報の引き継ぎ
  • 運用段階における安全関連情報の維持・更新
  • 情報交換時の安全情報の検証と確認

本規格は、安全対策そのものを規定するものではなく、安全に関する情報を適切に管理するための情報マネジメントの枠組みを提供するものです。

解説

2017年にロンドンで発生したグレンフェル・タワー火災では、多数の犠牲者を出しただけでなく、建物の設計や改修に関する情報や使用材料などの安全に関わる情報が関係者の間で適切に共有・管理されていなかったという問題が明らかになりました。この事故を受けて英国政府は建設業界の安全体制を見直し、建物の安全に関する情報を設計・施工・運用のライフサイクル全体を通じて一貫して管理する「ゴールデンスレッド(Golden Thread)」という考え方を提唱しました。

ISO 19650-6は、この流れを背景として、建設プロジェクトにおける安全衛生情報をISO 19650の情報マネジメントの枠組みの中で作成・管理・共有する方法を整理した国際規格です。

この規格では、安全衛生に関する情報をOIR・AIR・PIRなどの情報要求体系の中に組み込み、CDEを活用して管理することが想定されています。これにより、安全に関する知見やリスク情報が個別の書類に分散するのではなく、組織的な情報資産として蓄積・更新される仕組みが整えられます。また、安全情報の交換に際しては、他の情報と同様に検証や適合確認が行われるべきであり、情報交換プロセスの中に安全の視点が組み込まれることが求められています。

ISO 19650-6は、ISO 19650-2およびISO 19650-3で定められた設計・施工および運用段階の情報マネジメントの枠組みにおいて、安全衛生に関する情報を含めて管理するための規格です。BIMによって得られる情報を活用し、リスクの可視化や設計段階での安全配慮を情報マネジメントの体系の中で実現するための基盤を提供します。

この考え方では、安全衛生に関する取り組みや責任は施工を担当する企業だけにあるのではなく、発注組織や設計を担当する企業にも及び、関係者が協働して適切に管理することが求められます。その意味で、本規格は情報マネジメントを通じて安全文化を強化するための共通基盤を提供する規格として位置付けることができます。

掲載日

2026年4月1日

担当者

伊藤久晴