IM用語の解説

Information Management Glossary

共通データ環境(CDE)

英語名 / 略字

Common Data Environment / CDE

出典

ISO19650-1:2018 3.3.15

規格での説明(原文)

agreed source of information  for any given project or asset 、 for collecting、 managing and disseminating each information container  through a managed process
Note 1 to entry: A CDE workflow describes the processes to be used and a CDE solution can provide the technology to support those processes.

規格での説明(日本語)

管理されたプロセスを通じて各情報コンテナを収集、管理及び配布するための、任意のプロジェクト又は資産のための合意された情報源
注:CDE ワークフローは使用されるプロセスを記述し、CDE ソリューションは、それらのプロセスをサポートする技術を提供できる

説明

共通データ環境(CDE)は、ISO 19650-1において定義された用語であり、CDEという言葉を用いるためには、その概念を正しく理解する必要があります。

ISO 19650 において共通データ環境(CDE)は、プロジェクトまたは資産に関する情報についての「合意された情報源」を指します。重要なのは、CDEが単なるクラウドストレージやファイル共有システムを意味するのではなく、情報コンテナを管理されたプロセス(情報マネジメントプロセス)のもとで運用する仕組み全体を示す概念である点です。

CDEでは、情報は「情報コンテナ」として扱い、作業中(WIP)、共有(Shared)、公開(Published)、アーカイブ(Archived)といった状態管理のもとで運用されます。これにより、どの情報がどの段階にあり、どの目的で利用可能であるかが明確になります。

この仕組みを成立させるために、情報コンテナには命名規則や属性情報(メタデータ)を付与し、識別・検索・管理が可能な状態とすることが求められます。

CDEは、ISO 19650-2(設計施工段階)およびISO 19650-3(運用段階)において、情報マネジメントを実行するための環境および仕組として位置付けられています。

日本では、CDEが単なるクラウド上の共有サーバーとして捉えられる傾向があり、ISO 19650による情報マネジメントの仕組みとしての理解が今後の課題です。

解説

共通データ環境という用語からは、しばしば特定のITツールやクラウドサービスが想起されますが、ISO 19650 におけるCDEは技術やソリューションを指す概念ではありません(ISO 19650で定義されたCDEの機能を実現できるものが、CDEソリューションです)。本規格が重視しているのは、情報をどこに保存するかではなく、どのようなルールと情報マネジメントのプロセスのもとで管理するかという点です。すなわち、CDEは情報管理の「場所」ではなく、「管理された情報交換および流通の仕組み」つまりCDEワークフローを実践する環境や仕組みを意味します。

CDEの本質は、情報の単一情報源を確立することにあります。情報の単一情報源(SSOT)とは、その時点の目的(例:共有、レビュー、公開、保管など)で扱うべき情報コンテナがどこにあり、どのような状態かを、その情報を扱う誰もが認識・利用できることです。

各主体が独自に情報を保有・更新するのではなく、合意された環境内で情報コンテナを管理することにより、情報の重複や不整合を防止します。また、情報の状態管理により、作業中の情報と承認済み情報を明確に区別できるため、意思決定の信頼性が向上します。

さらに、CDEは単に情報を共有するための環境ではなく、情報交換の検証や承認、履歴管理を含む統制の仕組みを内包しています。そのため、CDEは情報マネジメントの実効性を担保する基盤であり、ISO 19650全体を機能させるための中心的概念です。ISO 19650における情報要求の定義、情報の作成、検証、提出といった一連の活動は、すべてCDEを通じて管理されることを前提としています。

情報コンテナを適切に管理するためには、情報標準として、情報コンテナの命名規則やメタデータ(情報コンテナのの属性情報)を決める必要があります。これらが、CDEソリューションの中で運用されることで、CDEワークフローの実効性が確保されます。 このように、共通データ環境は単なるクラウドサーバーではなく、情報の信頼性・整合性・透明性を確保するための管理構造を示す概念であり、情報マネジメントを組織的活動として実現するための基盤として理解することが重要です。

掲載日

2026年4月1日

担当者

伊藤久晴