英語名
Information Exchange
出典
ISO19650-1:2018 3.3.7
規格での説明(原文)
act of satisfying an information requirement or part thereof
規格での説明(日本語)
情報要求事項又はその一部を満たす行為
説明
情報交換(Information Exchange)とは、ISO 19650の情報マネジメントプロセスを理解する上で、非常に重要な概念です。ISO 19650において情報交換は、「情報要求事項又はその一部を満たす行為」と定義されています。これは、情報交換が単なる情報の受け渡しではなく、あらかじめ定義された情報要求事項に基づき、必要な情報を作成・調整し、意思決定に活用可能な状態として提供する一連のプロセスであることを意味します。
発注組織は、各段階における主要意思決定ポイントにおいて意思決定を行います。この意思決定に先立ち、情報要求事項に基づいて情報交換が実施され、元請受託組織および受託組織は、要求事項に対応した情報成果物を作成し、調整・レビューを経て提供します。
これらの情報交換の結果として、発注組織は、要求事項を満たした情報成果物を受領し、その内容を評価した上で、次の段階に進むかどうかの意思決定を行います。すなわち、情報デリバリーは意思決定の場で行われるものではなく、意思決定に先立って実施され、その結果が意思決定に用いられるものです。

この図は、発注組織の主要意思決定に対して、情報要求事項に基づく情報交換を通じて、元請受託組織および受託組織が情報成果物を提供する関係を示しています。中央の緑の丸は情報交換のプロセスを示しており、その中には情報の作成、調整、提出、レビューといった一連の活動が含まれます。一方、赤の菱形は意思決定ポイントを示しており、提供された情報成果物を評価し、受領および次段階への移行可否を判断する場を表しています。
また、情報要求事項には、組織情報要求(OIR)、資産情報要求(AIR)、プロジェクト情報要求(PIR)などに加え、それらを満たすための情報の構造、作成手法、手順、参照情報および共有資源など、受入基準に関わる内容も含めて定義する必要があります。
解説
情報交換の中核となるのが、情報のデリバリーです。情報のデリバリーとは、発注組織から提示される情報要求事項に基づき、必要な情報をどのように作成し、いつ提供するかを計画し、その計画に従って情報を作成・調整し、最終的に発注組織へ情報成果物として提供するプロセスを意味します。
具体的には、まず情報要求事項に基づいて情報デリバリーの計画を策定し、デリバリーチームにおいて情報の生産および調整を行います。その後、元請受託組織を中心としたレビューおよび承認を経て、情報は情報成果物として発注組織に提供されます。この一連の流れの中で、必要に応じて修正や再提出が繰り返され、情報は徐々に意思決定に適した状態へと整えられていきます。ここで重要なのは、情報デリバリーは意思決定の場で行われるものではなく、意思決定に先立って実施され、その結果が意思決定に用いられるという点です。発注組織は、提供された情報成果物が情報要求事項および受入基準を満たしているかを評価し、その上で次の段階に進むかどうかの意思決定を行います。

このように、情報交換とは、情報要求事項に基づいて実施される一連の活動であり、その実体は情報デリバリーの計画・実施・レビュー・修正から構成されています。すなわち、情報交換の中心にあるのは情報のデリバリーであり、情報交換を正しく理解するためには、情報のデリバリーがどのように計画され、実行され、意思決定に結びつくのかを理解することが不可欠です。
このように説明すると難しい概念に思われますが、本質的には、必要な情報をあらかじめ定義し、それに基づいて計画的に情報を作成・確認し、意思決定に活用するというごく当たり前の考え方です。しかし、現状の設計施工プロセスでは情報要求事項が十分に明確化されていないことが多く、情報デリバリーの計画も不十分なまま進められているケースが少なくありません。その結果、設計変更の頻発や古い情報による作業といった非効率が生じています。これらの無駄は、コストの増加や工期の遅延につながります。これを防ぐためには、発注組織と元請受託組織を中心としたデリバリーチームが、共通の情報要求事項と計画に基づき、協働してプロジェクトを進めなければなりません。
掲載日
2026年4月30日
担当者
伊藤久晴